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カリフォルニアの有名なチョコレートSee's Candies

See's Candiesの歴史

カリフォルニア土産といえば、これを挙げる人が多いのではないでしょうか、See's Candiesのチョコレート。というより、私はこれ以外のカリフォルニア特有のお土産を知りません。でも、食べたことがある人はわかると思いますが、本当に美味しいですよね。海外のチョコらしい甘さと、アメリカらしい少し大きめのサイズ感がたまりません。買って帰る時はだいたい、誰にあげても外れのない定番のTRUFFLESというアソートを選んでしまうのですが、実はそれ以外にも100種類以上のラインナップがあるそうです。地元の人に聞いた話ではTOFFEE-ETTESという、チョコの粒にアーモンドのチップをまぶし、中にもアーモンドの実が入っているスイーツが人気だそうです!

 

さてWikipediaによると、See's Candiesの発祥は1921年。カナダから移住してきたCharles Alexander Seeが彼の母Mary Seeの考案したレシピを元に店を開いたのが始まりだそうです。それから着実に店舗数を拡大し、1920年代半ばにはすでに12店舗を構えるまでになっていたそう。彼らは1972年に、店をかの有名な Warren Buffettが率いるBerkshire Hathawayに売却(自分たちの名前を冠して、大事に育て上げた会社を他人に売却してしまうのはいかにもアメリカらしいですね)。そのWarren Buffettが「アメリカン・ドリームの典型」("the prototype of a dream business.")と語るほど、See's Candiesはいかにもアメリカらしい成功を遂げたスイーツ店なのでした。

ちなみに日本にも、銀座にSee's Candiesの数少ない海外支店があったようなのですが閉店してしまいました。今では本国でしか買うことができません。

 

参考:

www.sees.com

https://en.wikipedia.org/wiki/See's_Candies

 

 

 

 

【読書】日本の家の寿命は26年?

「TOKYO METABOLIZING」 北山 恒+塚本 由晴+西沢 立衛

自身でも全く予想しなかったのですが、2017年は縁がありアメリカのカリフォルニア州へ1年間で3回も訪れる機会があり、うち一回は3ヶ月の長期滞在。現地で多くの人との出会いもあり、LAが突如としてアナザースカイ化した年でした。

LAは大都市ですが、とにかく広大な土地に点々と店舗や企業の施設が存在するため、車を足として使わなければとても生活できません。日本で言えば完全に郊外型の都市なのです。高層ビルなど、ダウンタウンの一角を除けば皆無で、民家もわりと年季の入った一軒家が多い(多くに庭やプールがついてるのは広大なアメリカならでは)。外から街をみる限りでは、本当にこれが世界GDP一位の最先進国アメリカ第二の都市なのか、と不思議に思わざるを得ません。

ただ、そういう外見が少し古臭い民家でも、いざ中へ入ってみるとお洒落で個性的、住人が趣向を凝らした部屋となっていることが多かったりするんですね。そうしたリッチな内装を目の当たりにすると、住人の所得の高さが感じられて、やっぱり大都市なのかな、と思い直したり。

 さてそんなこんなで帰国し、電車や首都高を走る車の窓から東京の街を眺めて思ったこと、それは「東京って本当に都会なんだなぁ」という月並みな感想と、「日本の家って機能的だけどつまらないよね」という新しく芽生えた日本の都市に対する見方でした。

その時にふと思い出したのがこの「TOKYO METABOLIZING」という本。7年のまだ大学生だった頃に、新宿の東京オペラシティ・アートギャラリーで開催されていた「家の外の都市の中の家」という展覧会の会場でなんとなく購入した本でした。

 

ここでいうMetabolizingとは直訳すると「新陳代謝」。60年代に日本の建築家たちによって提示された建築用語で「都市を機械のように機能部品の置き換えによって新陳代謝させる」という、当時は革新的なアイディアだったそうだ。本の中では、3人の建築家の方が世界諸都市、主に欧米の住宅事情と比較した東京という都市の特徴を、数点の事例を挙げながら記述していく形式になっています。専門的な内容でありつつ、我々が実際に生活する東京という都市が題材であり言葉も難しくないため、読み物としても大変面白い本でした。

※ちなみにいわゆる「メタボ」は「メタボリックシンドローム」という病名の略称なのでここでの意味とは少し異なります。

 

Metabolizingという概念が日本の建築家から発信されたというのは注目に値するでしょう。欧米では古い建物が保存され大事に使われ続け、それらが固有の都市の景観を形成しているというイメージをお持ちかと思います。実際に、日本の住宅の平均寿命はおよそ26年、アメリカが55年、イギリスは100年なのだそうです。ヨーロッパには、特別に保存された建物でなくとも、築500年を超す家も普通に存在します。日本には世界最古の木造建築である法隆寺や、文化財も多い一方で、一般の住宅の建て替えサイクルは平均26年と世界でも群を抜いて短いのです。

 

なぜこれほどまでに短いのか。

 

当時の展覧会の中で特に記憶に残っている展示があります。東京という都市が生まれ変わってきた歴史についてのパネルでした。ここ100年の歴史を見ると、関東大震災空爆による火災、高度経済成長期と、ちょうど30年近いスパンで節目が訪れており、良くも悪くも東京という都市はその度に変容を余儀なくされてきたという趣旨の展示でした。自然環境の脅威がシビアであった江戸時代以前も同じだったことでしょう。

対してヨーロッパは地震などの災害はなく、また日本と違い木材ではなく石材が用いられてきたこともあり、一度建てられた建築はよほどのことがない限り建て替える必要が生じなかった。やはり住宅のライフスパンの差に一番影響を与えていたのは環境の差だったようです。

そこから、都市はたえず更新を繰り返し、変化するものだという考えが自然と生まれたのでしょう。ヨーロッパには趣向が凝らされた古き良きデザインを大切に保存する伝統がありますが、日本は逆に現存する建築は一過性のものであり、世代を超えるものではないと認識されている。だからこそ機能的で最新の設備を備えた新築が次々と誕生していく。

 

本の中で西沢氏はこう語っています

 

アメリカやヨーロッパ、もしくは中国の歴史的な都市というのは、マスタープランというものがあると思うんです。ところが東京の場合は、建築を並べていったら道ができた、みたいなつくられ方で、マスタープランはもちろんあるでしょうけど、相当いい加減だと思うんです。マスタープランが意味を持っていないという、それが風景にそのまま現れていると思います…都市計画ということから考えたら0点をつけられるべきダメな街が、世界のなかで一番安全で、うまく機能していて便利だという…都市の風景がそのまま何か群衆というか人間の集団に見えるというのでしょうか。生き物の群れのような、非常に有機的な風景で、そこは僕は評価しています。

 

ヨーロッパなどは都市景観が一つの権力的に作られた、いわば全体で一つの作品のようなものなので、法律などを設けて文化財として保護していこうとする。日本の都市は個人個人が勝手に作った建物の集合体だから、とっちらかっていてカオス。全体として美しくはないけど、確かに、人の活動の総体として見ると、意外性があって非常に面白いかもしれません。

ただ、災害に対する建築技術が高度化した現代にあって、これからは建物の寿命が伸びて建て替えではなくリノベーションが増えてくるのではないかと感じます。

 

参考・出典:

「TOKYO METABOLIZING」 北山 恒+塚本 由晴+西沢 立衛  TOTO出版

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【展覧会レポート】大好きなゴッホの展覧会へ 

上野の東京美術館にて1/8まで開催されていた展覧会ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」に行ってきました。ゴッホは個人的に一番好きな画家。つい先日もロサンゼルス パサディナにあるNorton Simon Museumを訪れた際に、有名な作品の一つである『農民の肖像』を目の当たりにして再びゴッホ熱が入ったばかり。そこで、だいぶ前に耳にして以来、行こうと思いつつ機会を逃し続けていた今回の展覧会がついに最終日だと1/7ふと知ることになり、無理やり時間を作って行ってきました。

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最終日ということもあってか、会場は入場規制がかかるほどの超満員。時間をかけて観たい作品の前に来ても立ち止まることができないので、人が多すぎる会場は好きではなく、我慢のつもりだったのですが、今回は特別でした。距離のある人混みの先に飾られていても、確かに惹きつけられる強い存在感。足を進めて作品が目に入るたびに思わず「やられた」と参ってしまうような、決して人には真似できない地平。色づかい、構図、アイディア、複雑な心情の発露など、どの要素をとっても抜きん出たオリジナリティが焼きついた作品がずらり。今まで数々観てきた展覧会の中で、一番感動したかなぁ。改めて、ゴッホの作品が好きになりました。図録も入手したので、展覧会シリーズは連続でしばらく、ゴッホについて調べたことを綴っていきたいと思います。