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『ジョコビッチの生まれ変わる食事』読書レポート ★★★★★

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グルテンフリー」を世界に知らしめた一冊。

ジョコビッチといえば、テニスに詳しくない人でも知っているほどの超一流選手。

でもテニス界におけるポジションというか、

どれほど凄いのかと言われると、正直良く分かっていなかったのでざっと調べてみた。

 

 

2003年プロデビュー

2010年代に入ってから世界ランキング1位の常連

言わずと知れた全豪・全米・全英・全仏の4大大会すべての優勝経験

男子史上3人目となるグランドスラム4大会連続優勝 などなど

 

圧倒的な強さと安定感で

ロジャー・フェデラーらとビッグ4と呼ばれる。

 

要するに現役屈指の最強選手(の一人)

 

すごい!すごすぎる!

(月並みな言葉しか出てこない。。。)

 

だが彼のキャリアには、ある明確な転機があったという。

少年マンガで主人公が修行して急に強くなるかのように

嘘みたいにパフォーマンスが安定し、「最強」になったターニングポイントが。

 

それは2010年。

彼があるセルビア人医師と出会い、告げられた「セリアック病」を克服した年。

翌2011年に彼は全豪・全英・全米の3冠を達成し一気に世界1位へ登りつめた。

今でこそ広く認知されている「グルテンフリー」を実施した年だ。

 

その「グルテンフリー」が世界に広まるきっかけこそが

まさにこの本である。

 

改めて、グルテンフリーとは?

以下、Celiac Disease FoundationのHPより引用。

 

When people with celiac disease eat gluten (a protein found in wheat, rye and barley), their body mounts an immune response that attacks the small intestine. These attacks lead to damage on the villi, small fingerlike projections that line the small intestine, that promote nutrient absorption. When the villi get damaged, nutrients cannot be absorbed properly into the body.”

 

セリアック病を持つ人が(小麦、ライ麦、大麦などに含まれるタンパク質の一種である)グルテンを摂取すると、免疫反応が働き、小腸を覆う小さな指状の突起である絨毛を傷つけてしまう。絨毛は栄養の吸収を担っているため、結果として栄養が正常に体内へ取り込まれなくなってしまう。


Celiac disease is a serious autoimmune disorder that can occur in genetically predisposed people where the ingestion of gluten leads to damage in the small intestine. It is estimated to affect 1 in 100 people worldwide. Two and one-half million Americans are undiagnosed and are at risk for long-term health complications.”

 セリアック病は免疫不全の一種であり、遺伝的にグルテンの摂取が小腸を傷つけてしまう体質を持つ人々に症状がみられる。対象者は世界中で100人に一人の割合といわれ、2,500,000人のアメリカ人が自分が症状を持つことを知らぬまま長きにわたり健康上の様々なリスクを負っています。

https://celiac.org/about-celiac-disease/what-is-celiac-disease/

 

現代を生きる人すべてに関わるメッセージ

この本を手に取るべき人は、

大げさにいえば

日本人全員!

 

控えめに言っても、

日本人全員!

 

だって毎日の食事に小麦が一切含まれてません、なんて人いないでしょうから。

 

小麦が実は体に悪さを働いているなんて、

信じられないかもしれません。

 

ましてテニスプレイヤーが記した本を読んだところで、、

 

僕もそう思っていましたが、

一度読み始めたら止まりませんでした。


この本、ジョコビッチ自身が経験を踏まえ著しているものの

「あの年、僕はこういう気持ちで試合に臨んで、結果はこうだったけど、、」

といった伝記に留まらないのが特徴。

 

具体的な医学的な知見がふんだんに盛り込まれた極めて実践的な本。

経験則ではなく科学的な知見に基づいて語られるグルテンの正体。

 

タイトルこそ『ジョコビッチの生まれ変わる食事』と

レーニング本あるいは料理本のコーナーに似合うタイトルですが、

中身はグルテンフリーのバイブルといっても差し支えない内容の濃さ。

 

グルテンとは何か

グルテンフリーを実践してどういう体調の変化があったか

どういった検査方法があるのか

グルテンフリーと取り入れた食事メニューの例

 

さらに、グルテンフリーにとどまらず

東洋医学の教えやマインドフルネスといった

根本から体のパフォーマンスを上げるための方法まで

 

もちろん

ジョコビッチの壮絶な生い立ち

栄光を掴むまでの道のり

といったストーリーも描かれている

 

これだけテーマが多岐に渡っているにも関わらず

まとまりがあり、かつ読み物として刺激的な本は珍しいと感じた。

 

それもすべてジョコビッチという

実際にセリアック病と戦い、

トッププレイヤーとしてコートの上で戦い続ける

努力を重ねた「人」を通して語られるから面白いのだ。

 

どこかの医者が書いた本であったならば、こうはならなかったであろう。

 

「ありふれた食材だから安全」ではない

 

20世紀以降の目まぐるしいスピードで進歩する現代社会に生きる我々にとって、
「当たり前」は「安全」とイコールではない。

親の世代や祖父母の世代から受け継いだ常識は普遍的だから大丈夫、

とは言い切れないということ。

 

僕は読み始めの段階ではこう思っていた

 

「小麦なんて古来から食べ続けられてきた食物なのだから
そんなに悪い食物であるはずないでしょう。

悪影響があるのなら、もっと昔から問題になっていたはず。」

そうと言えない理由も、しっかり本の中に書かれていた。

昔の小麦と、現代の小麦は別物と化していた

 

ジョコビッチの生まれ変わる食事 新装版

ジョコビッチの生まれ変わる食事 新装版

 

 

のだ。